創立75周年の喜びを共に
世界は今、パンデミックの脅威にさらされています。私たちは「新しい日常」の樹立を期待され、同時に、人と環境にやさしい2050年脱炭素社会の実現を目指して歩み始めています。これらは社会の在り方ばかりでなく、私たちの暮らし方や生活習慣、価値観にまで変革を迫っています。
2023年に祝う創立75周年記念事業は、2048年に迎える創立100周年の聖心コミュニティの姿をイメージしながら、「新しい日常」への挑戦を進めようとするものです。記念式典・ミサ・シンポジウム・祝賀会は2023年11月4日(土)に挙行する予定です。
本学は1916年に、設立母体の聖心会により聖心女子学院高等専門学校として発芽し、1948年、戦後日本が民主的な国造りを始めた時期に、日本最初の新制女子大学の一つとして渋谷区宮代町に根を張りました。初代学長マザー・ブリットのリーダーシップと「愛のあるところに神います」というモットーに導かれ、聖心の教育コミュニティは個性的な大学として枝葉を広げて来ました。
「この小さな若木の成長を摂理によって導き、守護し続けられたイエスの聖心(みこころ)に心から感謝を捧げます」と祈り、「聖心の教育が未来社会に向けて緑のオゾンを供給する大樹のような役目を果たして行けますよう」と願ったのは、創立50周年(1998年)当時の学長、シスター中川徹子です。
75周年を祝う私たちも同じ気持ちですし、感謝の思いは、学生、シスター方、教職員、卒業生、保護者、法人の役員と関係者、姉妹校、国内外の恩人の皆様へと広がります。そしてグローバル化、デジタル化、ソーシャル化、AIの活用などが進行するSociety 5.0に向け、教育活動を通して緑のオゾンを供給し続けたいと願っています。こうした願いから、記念行事は「宮代グリーンプロジェクト」と名付けられました。
大学審議会が21世紀の大学像を「競争的環境の中で個性が輝く大学」と示した1998年からの歩みは、文明の転換期からの挑戦を受け、聖心の歴史と伝統を大事にしながら本学の個性を確認し直した25年間でした。
マリアン・ホールやパレスの改修もその一環ですし、特に東日本大震災後の復興支援に「オール聖心」で取り組んだ経験は、聖心コミュニティの使命と特徴を改めて自覚する機会となりました。学生寮の改築はそうした使命を、生活を通して実践する場を提供する狙いもあります。
また、新たな4号館聖心グローバルプラザは、創立時からの世界とのつながりを呼び起こし、「私たちの家である地球」(教皇フランシスコ)の環境問題、貧困と平和、地球温暖化と気候変動、ジェンダーギャップの問題などSDGsの17目標への関心を深め、「聖心スピリット」の幅を広げました。
2018年作成のグランドデザインは、文学部から現代教養学部への改称を伴い、学生の成長を中心におく教育の実質化へと導いています。パンデミックの中「誰ひとり取り残さない」を基本方針にして進めた本学の教育が、「学生に寄り添う授業実践」の好事例として文部科学省から認定された(2020年秋)のも、「新しい日常」樹立への弾みとなりました。
2023年には、AI・データサイエンスの必修化等の現代教養学部の新しい教育プログラムが始まり、学修・留学・課外活動・生活支援の各種奨学金の充実化と、「宮代グリーンプロジェクト」が展開されます。その内容は、近々、記念ロゴマークなども添えて改めてこのWEBにて紹介されます。
これまでのご支援とご協力に感謝申し上げますとともに、100周年に向けての歩みを支え、寄り添ってくださいますようお願いいたします。
学校法人聖心女子学院
理事長 宇野 三惠子
聖心女子大学
学長 安達まみ